「はい、ではみなさん気をつけて帰りましょう」
「「先生さようなら!!」」
「はい、さようなら」
小学校の帰りのホームルームというべきか、
いわゆる『帰りの会』が終わると俺は赤いランドセルに荷物を無理やり詰め込んで
急いで教室をでようとした。
しかしいざランドセルを背負おうとした時、友人のももちゃんが
待ってましたと言わんばかりに声をかけてきた。
「マリーちゃん!いっしょにかえろ!」
「ごめん、急いでるんだ」
しかし俺は長い金髪をゴムで結わえてあたかも
急いでますアピールをしながら断った。
「えええ、また?マリーちゃんここに来てから
ぜんぜんいっしょにかえってくれないね?おうちいそがしいの?」
「うん、まぁ」
生返事をしてしまったことに少し申し訳ない気がした。
別にももちゃんのことが嫌いとかそいう理由でない。
ただどうせあと2週間ほどで俺はここからいなくなるのだから
変に絡みたくなかっただけだった。
「それじゃ」
俺はももちゃんにせがまれるのを恐れて慌てて教室を出て行った。
「またマリーちゃんいっちゃたね」
ももちゃんに声をかけたのはもうひとりの学校の子であった。
「うん、マリーちゃんいつも忙しそう。
外人の人っていつもあんなに忙しいのかなぁ?」
ももちゃんが俺が廊下をでて曲がり角で見えくなるまで見送っていた。
おかげで途中、先生に「廊下は走るな!」と怒られたところをバッチシ見られたが。
「なんだかマリーちゃんって男の子みたいだね...」
ももちゃんはそうつぶやいた。
外に出た俺は一度家に帰ることにした。
家と言っても道場なのだが。
実は俺は格闘家を目指していて強くなりたいと思い
“帝獲巣(てぃえす)流総合格闘術”というところの師範に弟子入りしている。
そして実は今、その流派を受け継ぐための最終試験を受けている真っ最中なのである。