何事も無く朝になりました。
なにかあったとしたらオオカミになった赤ずきんのいびきがうるさくて眠れなかったことぐらいだろうか。
「オオカミさんオオカミさん!」
その声はとても甲高い子供の声。
「う~ん、なんだ騒々しい」
その声はしゃがれた声。
「私たちもどってるよ」
言われて自分の体を確かめるオオカミ。
腕は毛深く、立派に尖った爪が生えている。
「おお、ホントだ元に戻ってる。」
ふたりは元にもどれたことを喜びました。
「さて俺は行くよ」
オオカミがそう切り出すと赤ずきんは声をかけます。
「行くってどこへ?」
「さぁな、とにかく遠くだよ」
「せっかくオオカミさんのこと知って仲良くなれたのに」
「俺のことを知ったって何を?」
赤ずきんは答えます。
「オオカミさんの目が大きいのは美味しいものを見つけるためなんだよ」
赤ずきんはさらに答えます。
「オオカミさんの耳が大きのは美味しい音を見つけるため」
赤ずきんはさらにさらに答えます。
「オオカミさんのお口が大きのはいっぱい食べるため」
オオカミは頷きます。
「なるほど、そうかもな、俺もお前達人間のこと知ることができたぞ」
「それはなに?」
「・・・それは」
パーン!!
オオカミが答えようとしたとき大きな音が鳴り響いた。
そして次の瞬間、オオカミその場に倒れ込んだ。
「オオカミさん?」
なにがあったかわからないまま慌てる赤ずきん。
するとそこにベテランの狩人が現れた。
「大丈夫かい?赤ずきんちゃん?けがはなかったかい?」
赤ずきんはないもいえずにその場にへたりこんだ。
「おばあちゃんの家から変ないびきが聞こえたから来たんだが」
狩人がオオカミのお腹に目をやるとやたら膨らんでることに気づきました。
もしやと思い狩人はオオカミのお腹を引き裂きはじめました。
すると中からおばあちゃんが出てきました。
「おばあちゃん!?」
赤ずきんが驚いて叫びます。
「赤ずきんや、よかった無事で」
「ごめんなさい、ごめんなさい私、私・・・」
「おやおや、なに言ってるんだい赤ずきん。お前が謝らなくてもいいんだよ。悪いのは全部あのオオカミなんだから」
「ちがうの、そうじゃないの!・・・っ!!」
赤ずきんは泣きじゃくって途中から何を言っているのかわかりませんでした。
それから赤ずきんとおばあちゃんは無事元の生活に戻ることができました。
この事件から赤ずきんは赤い花をみつけてはオオカミのことを思い出しました。
そして相手の気持ちを思いやること大事にしたそうです。
おしまい