オオカミさんオオカミさん、オオカミさんの目はどうして大きいの?
オオカミさんオオカミさん、オオカミさんの耳はどうして大きいの?
オオカミさんオオカミさん、オオカミさんのお口はどうして大きいの?
・・・・
昔、昔あるところに森の近くに小さな女の子がお母さんと暮らしていました。
小さな女の子は赤い頭巾をいつもかぶっていたのでみんなからは“赤ずきんちゃん”と呼ばれていました。
ある日、赤ずきんはお母さんに頼まれておばあちゃんのお見舞いくことになりました。
おばあちゃんの家に行くには森を抜けなければなりません。
「いい?森の中には怖いオオカミがいるから寄り道なんかしちゃだめよ」
赤ずきんはこっくりと頷くと葡萄酒とチーズとキイチゴのパイが入ったバスケットをぶら下げて出かけました。
森に入ると小鳥や動物たちがいたので赤ずきんは全然怖がらず森の中を歩いてきました。
すると突然茂みの中からオオカミが現れました。
赤ずきんはびっくりしましたがオオカミは赤い花を指でつまんで優しくしゃがれた声で話しかけてきました。
「赤いずきんの似合うお嬢ちゃん。一体何処へ行くんだい?」
「おばあちゃんの家へいくの。お見舞いなの」
赤ずきんはまだオオカミの怖さを知りません。
「そうかい。じゃあお見舞いのならこの赤い花を持っていくといい。」
赤ずきんは赤い花がとても魅力的だったので喜んで受け取りました。
「ありがとう。この花はどこで手に入れたの?」
「あっちのお花畑さ。たくさんもっていきたければそこでお花を摘んでいくといい」
「オオカミさんありがとう。」
すっかりオオカミのことをいい人だと思った赤ずきん。
「お礼にこの葡萄酒をあげるよ」
オオカミは少し眉間に皺を寄せました。
少し前に狩人にお酒を飲まされ、もうちょっとのところで捕らえられそうになったことがあった。
そのときは間一髪で逃げることができることができたがそれ以来最近はお酒には手を出していなかった。
「大丈夫よ、そんなに強くないお酒よ。私でも飲めるわ」
そいうと赤ずきんはお葡萄酒の蓋をとって片手で器を作りその中にお酒をつぎ飲み干した。
「ほらね」
女の子は頭巾と同じ色に頬を染めて答えた。
「わかった、俺もそのお酒をもらおう」
そういって赤ずきんからワインの瓶をもらうとそのまま大きな口に注いだ。
「ふぅ~うめぇ。ひさしぶりの酒だ」
オオカミは口ぶりを変えて一気に飲み干した。
「ああ、オオカミさん全部飲んじゃった」
「ああ、すまんすまん、じゃあまたな」
そういってオオカミはそそくさどこかにいってしまいまた森の中に消えていった。
赤ずきんもオオカミさんにいわれたお花畑にいってお花を摘むことにしました。
そのころオオカミは先回りして赤ずきんのおばあちゃんの家の前にいました。
オオカミはドアをノックします。
「どちらさまですか?」
ゆっくりとした声でおばあちゃんの声が聞こえました。
オオカミは赤ずきんの声を真似ました。
「わ、私です。あ、赤ずきんです。お、お見舞いに来たよ。」
オオカミはお酒を飲んでいたいので少しばかし口が回りませんでした。
しかしおばあちゃんはしっかりは聞こえてなかったようで
「どうぞ、お入り」
と声が帰ってきました。
オオカミはしめしめと思いドアを開けました。
しかしお酒の酔いが今頃になって回ってしまったのかドアを開けた瞬間、オオカミは意識をなくしてしまいました。
しばらくしてオオカミは目を覚ましました。
「ここは・・・?」
周りを見渡すとそこはお花畑でした。
自分の腕を見るとそこには毛深く、鋭い爪はなく、すべすべした肌と整った爪がありました。
「どうなってるんだ?」
さらに自分の声に驚きます。
しゃがれた声ではなく、甲高い子供の声だったのです。
オオカミはどうなったのかわからずイライラして頭を書くと頭にかぶっていた布がほどけました。
見るとその布は赤いずきんでした。
「まさか?」
オオカミはようやく自分がどうなったか気づき始めました。
「もしかして俺、赤ずきんの嬢ちゃんになっている?」
オオカミは信じられないと思いましたが、いまこの状況を説明するにはそれしか思い浮かびませんでした。
「じゃあ、俺の身体は?」
オオカミは自分の身体が心配になりました。
「俺が赤ずきんになっているのなら赤ずきんは俺になっているかもしれない」
そう思い、オオカミは赤ずきんの格好でおばあちゃんの家に駆けていきました・
おばあちゃんの家につくとドアが開けっ放しなっていました。
オオカミはそのまま家の中に入っていきました。
そして部屋の隅っこでオオカミ姿の男が泣いていました。
「どうして泣いている」
赤ずきんの姿をしたオオカミが尋ねます。
「私、私、おばあちゃんを食べちゃった・・・」