そもそもこれは誰の身体なのか?
自分自身が性転換して女性になったとしては顔がまったくの別人で面影がなくちょっと考えにくい。
部屋の様子からしてみても誰かが使っていた形跡があるようで、
恐らくそれはこの身体の主がこの部屋を利用していたいたのではないかと考えられる。
あくまで推測だが。
つまり全く知らない人間にしかも幸か不幸か俺は知らない女になっているらしい。
なぜに?そもそも俺の身体は?
ボーっと数秒考えてみたが俺の少ない脳みそではここまでが限界。
考えても仕方ないと悟り、俺はこの身体の持ち主の手がかりを探すことにした。
とりあえずまず机を調べることにした。
早速手がかりになりそうなものを発見。
ピンク色のiフォンだった。
恐らくこの身体の持ち主のものだろう。
他人のものを触るのはちょっと戸惑ったがここは致し方なし。
電話帳をタッチしながらプロフィールを見つけ出した。
ご丁寧に住所まで書いてあった。
“入江 佳奈美”
“26歳”
“東京都○○区○○番地”
思ったより自分の近所だ。
つまりここは自分の家の近くなのだ。
そう思ったら少し安心した。
しかしすぐ新たな不安が。
そういえば自分の家はどうなっているのか。
ここでいう家とは当然俺がずっと前から住んでいた家のことだ。
そして俺の身体は無事なのか?
そもそも俺の身体が家にあるという保証もない。
携帯を見つめなおす。
「一度電話をかけてみるか。」
そうだ。自分の番号にかけてみてつながるかどうか確認すればいいのだ。
俺は自分の携帯の番号を入力した。
だがもしこれでつながらなかったら・・・。
いやつながったとして誰がでるんだ?
俺か?
もし俺”が俺”につながったらその俺”は一体誰で、今の俺”はその俺”のどいう関係になるのだ?それで俺”は俺”でありえて“俺”ではないわけでつまり“俺”の存在が“俺”ではなく“俺”であって・・・
ええいもうめんどくさい!
俺は発信ボタンをタッチした。